森 博嗣 「四季」を読んで
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秘書の吉岡です。 今回、初めてお題スロットを使ってみて、読者感想文というお題がでたのでこのお題でいってみます。
私、本はたまにみる(月に1冊程度)くらいで無謀にもこのお題に挑戦したわけです...はい
「四季」
正確には四季シリーズです。 春 夏 秋 冬 の4冊で構成されてます。 四季と言っても季節の四季ではなくて森作品に登場する真賀田四季の半生を書いた作品です。
人類で最も神に近い存在...その真賀田四季の謎や、隠れた闇の部分の魅力に惹かれこの本を読まれる方が多いと思われるのですが、結論から申しますと...余計謎が深まるばかりです。
その意識は肉体を超え、空間を超え、時間を超える... 初めて読まれる森作品がこの四季ならば全く理解不能だと思われます。森作品をずっと見られている方でもやはり予想をはるかに超えてきた作品に思われます。
森ミステリーを読むにあたって
いつも思うのですが、森ミステリーを推理小説という見方をすれば、面白さは半減します。というのも殺人事件などもあるのですが、大概は物語の主要な部分から外れた話であり、オマケ程度なんですね。
森作品は時系列で並んでいて、すべての作品を1つと考えると1冊ずつ少しづつ謎がわかっていくイメージです。(といってもさらに謎が深まる場合がほとんど)
四季シリーズは序章に過ぎない
四季シリーズはすべての森ミステリーの終点という見方もできますが、私はここから続く百年シリーズへのプロローグであるという見方をしてます。
「四季」冬 でも百年シリーズを予感させる描写が多々見受けられます。
百年シリーズでは真賀田四季らしき人物が登場し、物語のキーマンであると同時に今までの作品で語っていた事を実現させています。 しかし、百年シリーズで登場する四季なる人物はどの人物像も少しだけ違っていたり、百年シリーズでも今後の展開の謎が深まるばかりです。
最後に「四季」冬ですべてがFになるの事件を四季が語る場面があり、自分はそこが一番印象に残りました。天才であるが故に自らの理性を抑え、論理的に行動するが、人間であるためにその理性で溢れる涙をこらえることができない...四季にとっては身体は不便なものでしかないと描写されてますがこの「四季」で真賀田四季の人間味に触れることができると思います。